ショパンとレコード

幻想即興曲に感銘をうけて半年ほどは,ショパンの曲でもいわゆるメジャーな曲(子犬のワルツや華麗なる大円舞曲など)しか知らない状態が続いていました.それというのも,またショパンの曲の演奏を聴く機会といえば,NHK の FM ラジオの放送か,教育テレビでたまに気まぐれにやっている演奏会くらいのものだったからです.こういう番組では,だいたいメジャーな曲目しか放送しません(当時は).番組をみても「また同じ曲目が・・」という状況に陥っていました.

これではいかーんと,少し反省(?)して珍しくレコード屋に出かけていき,知らない曲目ばかり入った LP レコード(当時はCDはまだ出始めで,種類がありませんでした)を1枚買ってきました.そして,そのレコードの1曲目に入っていたのが「幻想曲/作品49」だったのです.演奏者が誰だったか忘れてしまったのですが・・今見たら確実にわかるくらいの,巨匠のうちの誰かだったことは確かです.

当時,ショパンの曲で一番凄い曲は「スケルツォの2番に違いない」とか勝手に思っていたところでしたから,この幻想曲はなかなかのショックでした.とにかく詰め込まれている楽想が半端ではない上に,聴いていて飽きない多彩な展開,到底弾けそうにないパッセージと,とかくあらゆる点で驚きました.いったいどんな譜面からこんな音楽が!?と思って,即座に楽譜屋に舞い戻ってしまったことは,いうまでも無いわけですが….

このとき,ちょうど幻想曲とスケルツォの両方の譜面が一緒に載っているものがあり,「これは好都合」とばかりに即買いしてしまいました.そして,この後えんえんとショパンの楽譜を買い求める日々が続くことになってしまうのです.