ベートーヴェン ピアノソナタ31番 変イ長調 作品 110

後期三大ソナタの真ん中に位置するこの曲は,他の2曲に比べると全体的に柔らかな印象を受けます.3曲通してぼーっと聴いていると,いつのまにか第三楽章のフーガの終わり近くまで進んでいて,もう終わり?という感じです.それでも曲自体は全部で20分近くもあるんですよね.同じような旋律が何度も流れてきて,なかなか展開しないのかと思っていると実は少しずつ展開していて,いつのまにか微妙に違う曲になっているという,なんともいえない不思議な感じのする曲です.

個人的には,第三楽章の後半を占めるフーガの部分が好きですね.最初はフーガなのに途中でフーガでなくなったり,フーガのような変奏曲のような何だかわからない曲になったり,主題が間延びしたり短くなったり反転したりと,まさにやりたい放題という感じがします.展開が速くてしかも多彩なので,何も考えずに聞いていても楽しめるのではないでしょうか.弾こうと思ったら・・腕が3,4本必要な気がします.