平均律クラヴィーア曲集 第一巻 フーガ第二番 ハ短調 BWV847
J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集といえば,ピアノ弾きが避けては通ることのできない曲集の一つでしょう.この曲集は,基本的には鍵盤楽器の練習曲集としてまとめられたものです.しかし,単なる運指の練習だけを目的にしたものでなく,音楽センスを磨くことや音楽理論の勉強も同時にできるように,よくよく計算されて作られたものになっています.
第一巻には性格の異なる24曲の前奏曲とフーガが収められており,それぞれ異なる24の音階の上に作られています.長い曲もあれば短い曲もあり,演奏時間にして1分程度しかないようなものも多くあります.しかし,短い曲の中にも J.S.バッハの「数学的美しさ」とでで言えばいいのでしょうか,厳格で普遍的な美しさがしっかり潜んでいます.ただ,この曲集は聴くだけではその美しさがなかなか伝わってこない気がします.少しでも弾いてみると,巨大な自然数を鮮やかな手順で素因数分解していくような(意味不明),均整のとれた謎の感動が見え隠れする気がするわけです.
とまあ,偉そうなことを書けるほどバッハのことを知っているわけではありません・・.この曲集の詳細については,わたしがつべこべ説明するより,詳しく研究されている方々の文献を挙げておくほうがいいでしょう.
- 平均律クラヴィーア曲集
- 純正律と平均律 (平均律について非常に詳しく書かれています)
- バッハ文献集(莫大な量の文献集)
- 『バッハの鍵盤音楽』 書籍解説
- 教授の家(バッハ情報)
- Prelude & Fugue #2. 楽譜
2番のハ短調のフーガは,この曲集のフーガ中でも比較的展開が穏やかで,聴くにも弾くにもとっつきやすい内容になってます.フーガは3つの声部から成っていますが,複雑な主題の変形はありません.演奏する上でも,8分音符をスタッカートで弾くことで,各旋律を綺麗に弾きわけるようにする以外は,特に至難な演奏技術を要求されるような箇所はありません(多分).といっても,弾き分け自体が実は難しいのですが・・.
模範演奏として,わたしは教科書的演奏なグルダ先生のバッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻を使ってます.鑑賞するなら,鼻歌的演奏(?)のグールド先生のバッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第1巻でしょうか.