MusiXTeX でピアノソナタ悲愴(8) スラーとタイ,スペーシング

スラーとタイは連桁を書くときと似ていて,スラーを開始したい音符と終了したい音符の前にそれぞれコマンドを書きます.

  • タイ

開始は [\itie][uかd][数字][音程] 終了は [\ttie][数字] です.u は上側が膨らむ弧を描くタイで,d はそれを上下反対にしたものです.そのあとの数字は,\ttie コマンドでタイを終了させるときに,どれを終了させるかを区別するために使います.これらのコマンドは音符の前に書いておくことで,綺麗に音符に重なってタイが表示されます.音符がない状態でもタイを書くもできますし,音符と違う音程を指定することも可能です.

  • スラー

開始は [\islur][uかd][数字][音程] 終了は [\tslur][数字][音程] です.タイと違うのは,終了コマンドにも音程が指定できることです.これによって,\islur で指定した音程から \tslur で指定した音程に向かってスラーの弧が描かれます.スラーの弧の上下幅が薄すぎる場合は,\tslur コマンドの直前に [\midslur][数値] というコマンドを入れることで,弧の上下幅を調整できます.数値はデフォルトのスラーでは 3 になっており,上に膨らんだスラーならば指定された音符より3音上まで弧がふくらみます.これより厚くしたければ 3 より大きい数を,薄くしたければ 1 か 2 を指定します.なお \midslur と \tslur の間に他にコマンドを挟んではいけません.

sonata8note.tex


\nspace\nspace
\Notes % 8分音符の間隔で譜面開始
\ccharnote N{\fp}% Fp
\itied0C\itied1E% ce からタイ開始
\itieu2G\itieu3J% gc からタイ開始
\zq C\zq E\zq G\ql J% cegc
\sk% 1音符分空白
\ibbl0E4% 桁開始
\ttie0\ttie1\ttie2\ttie3% cegc へのタイ終了
\zqp C\zqp E\zqp G\qbp0J% cegc (タイでつなぐ)
\qsk% 玉1つ分空白
\tbbbl0% 半桁表示
\qb0L% e
\off{-0.3\noteskip}% 玉3/10分左側に詰める
\qbp0K% d
\qsk% 玉1つ分空白
\tbbbl0\tbl0\qb0J% 半桁表示,桁終了,
\off{-0.3\noteskip}% 玉3/10分左側に詰める
\islurd0M% g からスラー開始
\sh M\ql M% f にシャープ,f
\sk% 1音符分空白
\tslur0N% H でスラー終了
\cl N% g
\pt{L}\qs% 付点16分休符
\fl H\cccu H% a にフラット, a
%----------------------------

% 段切り替え

%----------------------------
\uptext{\medtype\bf Grave.}% 速度・演奏指示
\itied0L\itied1N\itieu2c% egc からタイ開始
\zq L\zq N\qu c% egc
\sk% 音符1つ分空白
\ibbu0c2% 桁開始
\ttie0\ttie1\ttie2% egc へのタイ終了
\zqp L\zqp N\qbp0c% egc
\qsk% 玉1つ分空白
\tbbbu0% 半桁表示
\zq N\qb0c% gc
\off{-0.3\noteskip}% 玉3/10分左側に詰める
\na P\zqp N\zqp P\qbp0d% b にナチュラル,gbd
\qsk% 玉1つ分空白
\tbbbu0\tbu0% 半桁表示,桁終了
\zq N\zq c\qb0e% gce
\off{-0.3\noteskip}% 玉3/10分左側に詰める
\isluru0e\islurd1O% e からスラー開始
\na O\zq O\zq c\qu e% a にナチュラル,ace
\sk% 音符1つ分空白
\tslur0d\tslur1P% d でスラー終了
\zq P\cu d\ds\en% bd,休符
%----------------------------

ソースが相当にややこしくなりましたね…。ここまでくると完全に呪文です。1小節だけのデータなのにすごい量になってしまいました。しかし,これでほとんど完全に「楽譜」の形になりました。