FM音源とピアノ曲

わたしが高校生になる頃,正弦波の音を3音出せるだけの PC の時代から,これに FM 音源と呼ばれる多少信号に変調をかけられるチップが積まれた PC の時代へ移行しつつありました.3音は正弦波6音発声できる PC の時代に移行しはじめていました.それまでは PC 用の音源チップといえば,正弦波やノイズ音などの単純な電子音しか出せないPSG (Programmable Sound Generator) がメインでした.

しかし,ある程度信号に周波数変調をかけることで音色を変えることができるFM音源のチップが積まれたことで,PC での音楽の演奏にかなりの表現力を持たせることができるようになりました.ただし当時の PC では3音はPSGのままで,残り3音のみがFM音源になっているという構成が多かったようです.

当時,PSG 3音だけで演奏させられる曲に限界を感じており,しばらく曲を打ち込むことをやめていました.しかしこのFM音源が搭載されるようになったおかげで,一気に同時に6音まで演奏できるようになりました.そこで,いろいろピアノ曲を打ち込んでみたところ,6 音もあればかなりの曲を「ある程度まともに」演奏させられることが分かりました.それで,またショパンの曲をいろいろPCに打ち込もうという気になったわけです.

新しいPCが発売されていく中で,わたしが使っていた PC 用の FM音源拡張ボードがひっそり発売されました.それを雑誌で知って,半年間くらいでかなり無理やりお金を貯め,なんとかこのボードを買いました….すでにその PC のスペックは時代遅れになっていましたが,ボードを取り付けたことで6音での演奏ができることになったので,わたしはそれで満足してました.まさに,PC を曲の演奏以外に使ってなかったんですね….その後も PC を買い換えることなく 5 年くらいは使い続けていたと思います.

そして,記念すべき FM 音源搭載後の入力第一曲目に選んだのが,ショパンのワルツ「華麗なる大円舞曲」でした.これは,単に楽譜をもっていて知っている曲で,まだ打ち込んでいないものがこれだけだったからです.あんまり深い意味はありません….しかし,結構長かったので全曲打ち込むには相当の苦労をした覚えがあります.しかも,これまで3音だけ入れればよかったのが,いきなり倍の6音になったわけですから,打ち込むべき音符の数が相当増えてました.