MusiXTeX でピアノソナタ悲愴(3)

MusixTeX のソースの書き方については,やはり「MusiXTeX入門」でかなり詳しくかかれています.また英語の MusiXTeX and Related Software を元に作られた日本語のMusiXTeXマニュアルを作られている方がいて,これらに詳しい説明があります.ですので,ここではわたしがソースファイルを書いていく上でつまずいたことを中心に,要点だけ書いていきます.

前述の通り.楽譜を作るには .tex という拡張子(サフィックス)を持つファイルを書く必要があります.このファイルの内容は,普通のテキストエディタで書けます.また,ファイルの内部の構成は大まかに次のようになっています.


\input musixtex % musixtex を使うという宣言(必須)
% このあたりに,パート数,パート名,調などを書く.
\startmuflex % ここから先に musixflx が調整すべき音符を書くという宣言.
\startpiece % 楽譜がここから始まることを宣言
% ここに楽譜を書く.
\end % ファイルの終わりを示す(必須)

上の囲みの中の '%' という文字は,その文字から後ろの部分は「注釈」として扱われることを意味します.つまり上のファイルは,ptex コマンドにとっては次のようにかかれているのと同じです.


\input musixtex
\startmuflex
\startpiece
\end

実際,これだけの内容を書いたファイルを作ってコンパイルすると,次のような空っぽの楽譜ができます(サイズは半分にしてあります).

この状態ではただの五線譜ですね.実際に譜面を書く場合には,次のような情報を書き込みます.


  • パート数(各パートの段数),パート名
  • 各パートの調,音部記号

ピアノ譜に限れば,パート数は1(1楽器で1パートと数える),段数は2(通常のソロピアノ譜の場合)なので,次のようになります.


\input musixtex % musixtex を使うという宣言(必須)
% ----------------------------------
\def\nbinstruments{1} % パート数 1
\setstaffs 1{2} % パート1の段数 2
\setclef{1}{60} % パート1の格段の音部記号(6=ヘ音記号,0=ト音記号
\generalsignature{-3} % 調号=ハ短調
\generalmeter{\meterC} % 拍子はC(4分の4拍子)
% ----------------------------------
\startmuflex % ここから先に musixflx が調整すべき音符を書くという宣言.
\startpiece % 楽譜がここから始まることを宣言
% ここに楽譜を書く.
\end % ファイルの終わりを示す(必須)

音部記号は 0 がト音記号,1〜4がハ音記号,5,6がヘ音記号です.音部記号は下段のパートから順番に指定します(上の例では先に書かれた6が左手側のヘ音記号に対応し,あとの0が右手パートのト音記号になります).調号は 0 ならハ長調(またはイ短調),プラスの数字でシャープの数を,マイナスの数字でフラットの数を指定します.ピアノソナタ悲愴の場合はハ短調でフラットが3つなので,-3 を指定しています.拍は 4/4 の場合は \meterC と,2/2 なら \allabreve,それ以外の n/m なら \generalmeter{n}{m} と書きます.3/8 拍子なら \generalmeter{3}{8} という感じです.