コンピュータとバッハの小フーガト短調

わたしの記憶が正しければ,コンピュータに演奏させた最初の曲はバッハの小フーガト短調だったと思います.当時のコンピュータ(というかパソコン)は,単調な正弦波を3音程度同時に鳴らせる程度でも「最新鋭」とかいう時代でした.この貧弱な環境下でも,何かパソコンに演奏させてやろうという意気込みが,当時はあったんですねえ.

まともな曲を演奏させたいという野望をまだ胸にしていた頃,いつぞやの昔に学校の授業でもらった,小フーガト短調の楽譜を発掘したことがありました.この楽譜をじーっと見ていると,最後の少しと途中の一部を除けばうまいことに三音だけで演奏できることを発見.激しく時間を費やしながら,BASIC の play 文とか使いながらちまちまと楽譜打ち込むこと1週間あまり,どうにか全部打ち込むことに成功しました.そしておもむろに演奏させてみると…なんと,かなりまともに聞こえるじゃないですか!

打ち込んだ曲がオルガン用の曲で,テンポの変化や音量の変化がほとんどない曲だったのが良かったのでしょう.コンピュータで無機質に演奏させても,ちゃんと曲の体を為していて感動的でした.その後,いい気になっていろんな曲を打ち込んでいきましたが,この当時のパソコンでまともに演奏できたのは,結局この小フーガト短調だけだった気がします.