小フーガト短調 BWV578

この曲は,中学校の授業で初めて聴きました.当時,フーガはおろかバッハすら知らないという不届き者ではありましたが,カノンよりもずっと複雑で,主旋律がいろんな形で出てくる様子がとても面白いと感じました.今でも教科書に載っていたりするのでしょうかね.当時の先生は,曲を聞かせるだけでなく楽譜までくれました(どの先生もくれるんでしょうか?).おかげで,後々これがコンピュータに演奏させた最初の曲になるわけですが…

その当時のわたしは,エリーゼのためにを弾くのがやっとという腕前だったのですが,この楽譜をみながら曲を覚えて無理やり手だけで途中まで弾いたりしてました.解説は,例によって詳しい人にお願いする方向で.

それにしても,検索エンジンでは CD と MIDI ファイルばかり見つかってしまい,まともに解説されているページがあまり見つけられませんでした.解説するほどのものではない,ということなんでしょうか.「バッハ」だけで検索すると,恐ろしい勢いでバッハの情報は出てくるのですが….なお,手元にあるCDの解説によると次のようにありました.

ヴァイマル時代の初期,もしくはその少し前の作と推定されているこの曲は,同じト短調で書かれたファンタジーとフーガBWV542の大規模なフーガに対して,特に「小フーガ」と呼ばれて親しまれている作品である.そしてバッハ自身も,この小さなフーガを好んで演奏したと伝えられている.このフーガについては,まず,主題そのものの美しさ,優美さが注目されよう.そして,その美しさをできるだけそこなわないように,曲の中では対位法の複雑な技法はあまり目立たず,流れるような展開がみられ,この点もフーガの大きな魅力となっている.

(GRAMMOPHON NEW BEST 100 / Johann Sebastian Bach: ORGAN WORKS (Helmut Walcha) 曲目解説より)

確かに他のオルガン曲にくらべると旋律は覚えやすいし,曲の長さもそれなりに短く,曲の展開も分かりやすく,親しみやすいと思います.そして,ついつい何度も聞いてしまう謎の余韻があります(これは,バッハの曲全部がそうだという話もありますけど).ただ,いかに短くて簡素な曲(?)といえども,しっかりと対位法に基づいて作曲された多声音楽なわけで,一部でさえも(当時は)弾くのには相当に苦労しました.見た目の音符の数は少ないのに,左手と右手で同時に旋律を弾くというだけで本当に混乱してしまいます.