エチュード 第24番 最初の8小節(2)

最初の8小節だけ抜き出して見たのが次の図です.




この8小節は,曲全体のモチーフを提示している塊になっています.3オクターブを往復するパターンが 6 つ続いたあとに,2拍目に把持音を伴うアルペジオが2小節続いてます.1,4 および 2,5 の小節は全く同じです.この8小節を聞くと,E♭ → D → F → E♭ → D → E♭ → C という旋律が聞こえてくるのですが,これはそれぞれの小節の最初に右手の1の指で押す音です.そして,最後の2小節の把持音が C → B♭ → A♭ → G → G → F → F という旋律を奏でます.

先の6つの小節は,すべて先頭の音にアクセントがあり,さらに9音目の左手の音にもアクセントがあります.アクセントのつき方が,両手ともにアクセントのある場合と,右手か左手のどちらかにしかアクセントがついてない場合とがあって,よーく見ないとだまされます.アクセントの強さの指定も若干左右で違ったりします.特に,2小節目の最初の音(DとC)のように不協和音に聞こえる音は,右手の音のほうを意識的にかなり強めに押さないと,聞いててかなり気持ちが悪いです.左手アルペジオの最高音のアクセントは,腕だけ移動させて無理やり押すというのではダメで,肩ごと(体ごと)叩くべき鍵に沿ってある程度動かないと,十分な音量が出ません(少なくとも私は).

指使いとしては,アルペジオのところは 1,2,5,1,2,5 ... (左手は 5,2,1) という上昇パターンと,5,2,1,5,2,1 ... (左手は 1,2,5) という下降パターンが基本です.たまに 1,3,5 または 5,3,1 というパターンが混ざります.1,3,5 になっているのは2小節目と5小節目(図中P4).1,2,5 に比べると 1,3,5 はやや難しく,3 の指が思うように動きません.なお,ほとんどのパターンでは 5 と 1 は同じ音を弾きます(図中P1,P3)が,ときどき 5 を越えて 1 を使う場所があります(6小節目,図中P6).これが結構難しく,目を閉じて弾くと着弾失敗率は 70% を越えます・・.かなり練習が必要のもよう.

小節と小節の途切れ目の場所で,2-1 (または2-5) の間がかなり飛ぶところがいくつかあって.これが意外に曲者です.3-4, 4-5 小節間(図P5)の右手 2-1 で C → E♭ とやや広めの間隔で1が黒鍵に飛んでいくところが微難,6-7 小節間の右手 2-1 で C → C(1オクターブ)と1オクターブも飛ぶのが地味に難です.

最後の 7-8 小節は,譜面を覚えるのがちょっと面倒.16分音符ひとつ置いてから,アクセントがある把持音がくるのは,最初少し違和感がありました.指使いでは,8 小節の右手 8 音目で B♭を弾くのが微難.そして,最後の A♭ から 9小節目(図にないですが)の E♭に向かって 1,1 という指で飛んでかなければいけないのが,密かにかなり難です.

個人的には,この8小節の中では6小節目が一番難しい感じがします.何が難しいって,左手の C, F, B という音の並びがなんとも不協和音すぎて,右手の音とのバランスを考えずに音量を出しすぎると,やたらめったら気持ち悪く聞こえてしまうこと・・.さらには,B を 1 で押した直後に(レガートに)5 で C を押すというのがむつかしー(逆の運指もまたしかり).

とりあえず,ペダルなしである程度きれいに弾けるようになるまで,ペダルを使わない決心をしてみたものの・・いつまで耐えられるやら.