MusicXML による悲愴ソナタ第一楽章(1)
ここまでで,MusicXML の大まかな内容がわかってきた気もするので,悲愴ソナタの第一楽章の冒頭を Finale で打ち込んで,MusicXML ファイルとして Export して,中身を見ながら理解していくことにします.
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" standalone="no"?> <!DOCTYPE score-partwise PUBLIC "-//Recordare//DTD MusicXML 1.0 Partwize//EN" "http://www.musicxml.org/dtds/partwise.dtd">Finale 2003 for Windows 8. Acoustic Grand Piano 1 1 8 -3 minor 2 G 2 F 4 C 4 8 1 quarter up 1 C 4 3 1 16th up 1 begin begin C 4 1 1 32nd up 1 continue continue backward hook D 4 3 1 16th up 1 continue continue E -1 4 1 1 32nd up 1 end end backward hook E -1 4 8 1 quarter up 1 D 4 4 1 eighth up 1 4 1 eighth 1 32 C 3 8 2 quarter up 2 C 3 3 2 16th down 2 begin begin E -1 3 1 2 32nd down 2 continue continue backward hook D 3 3 2 16th down 2 continue continue C 3 1 2 32nd down 2 end end backward hook F 1 3 8 2 quarter sharp down 2 G 3 4 2 eighth down 2 3 2 16th 2 A -1 2 1 2 32nd up 2 32 1 1 32 32 2 2 light-heavy
上に貼り付けたのは,Finale 2003 で次の画像のような譜面を打ち込んで MusicXML を Export させたファイルの中身です.音符の数に比べると,ファイルの中身は相当に冗長になっています.
part-list
part-list ブロックを見ると,Finale ではパートを右手左手と分けずに,1つのパートとして扱っていることがわかります.midi-instrument と score-instrument という2つの見慣れないブロックがありますが,これは譜面を演奏するときに midi チャンネル 1 を使い,音色として 1 番を使うことを指定しています.
8. Acoustic Grand Piano 1 1
調性・拍子
悲愴ソナタはハ短調(フラットが3つ)あるので key の fifths は -3 が指定されています.mode については記述は必須ではありません.ここでは minor と指定することで,ハ短調であることが明確にされています.拍子は time ブロックで 4/4 に指定されています.symbol 属性に common が指定されているのは,表記に 4/4 ではなく C を使えという指示です.staves に 2 が指定されているのは,このパートに2つの譜面(高音部と低音部)が含まれていることを示しています.clef は譜面それぞれについて,ト音記号とヘ音記号を指定しています.number で,高音部と低音部のどちらに書くべき記号かを指示しています.line では,五線譜の下から何番目の線から記号を書き始めるかを指定していますが,通常 G は 2, F は 4 です.ここの例の場合,line は指定しなくても同じになります.最後に divisions ですが,最初の1小節目に含まれるもっとも短い音符は32分音符なので,ここでは 8 (4x8=32なので)が指定されています.
8 -3 minor 2 G 2 F 4
高音部1音目
最初の1音を示す note ブロックを見てみましょう.下記の情報から,以下のことがわかります.
- 音程:オクターブ4のC音
- 音長:8 (divisions=8, duratio=8 なので,四分音符を意味する)
- 表記するときの音符の種類:四分音符
- 棒の向き:上向き
- 表示する譜面:高音部
voice というブロックは,1つの譜面の中に複数の声部があるときに,この音符がどの声部に属するかを区別するために使われています.この voice というブロックは MusicXML Common DTD Module によれば for editorial information と書いてあるので,編集者または編集ソフトウェア用の注釈(つまり MusicXML のデータとしては,削除されても問題はないデータ)と考えてよさそうです.
C 4 8 1 quarter up 1