ピアノと電子ピアノ

ひょんなことからオーストラリアにしばらく行くことになり,東海岸をキャンベラあたりからケアンズのあたりまで放浪しておりました.その間に何軒かの家にステイしていたのですが,向こうではピアノを持ってる人はほとんどいませんでした.家は日本に比べるとぜんぜん広いし,十分置くスペースもあるのですが.実際,本当に好きでピアノを持っている人の家には,グランドピアノが置いてありました.あと,どういうわけか農場をやってる家には,ピアノがある確率が高かった気がします.

しかし,どのピアノも調律とか手入れとか言う言葉から程遠い,かなり無残な状態になっていました.「森のピアノ」ではないですが,軽く鍵を叩いたくらいでは,全く音が鳴らないような状態のものもありました.私は日ごろ電子ピアノを使っていて,かなり軽いタッチでも音が出ることに慣れていたため,こういう激しい状態のピアノでまともに音を鳴らすのにかなり苦労しました.

それでも,2ヶ月近くこんなピアノばかり触っていると,だんだん慣れてきてしまいました.昨日,帰ってすぐに自宅の電子ピアノを弾いたら,あまりに鍵が軽いことと,グランドピアノに比べればダイナミックレンジがあまりにも無いことに,初めて気がついたという次第です.やっぱり,どんなに状態がダメでも本物は本物ということでしょうか.