MusiXTeX

以前にも少し触れたように,これは TeX という超高性能な DTP ソフトをベースに作られた,楽譜の浄書ができるソフトです.現在は Windows でも使えますが,もともとは UNIX 系の OS 上で開発されたソフトです.これは無料で手に入る,最も高性能な浄書ソフトでしょう.ただし,Finale など他の浄書ソフトと違って,画面上で視覚的に譜面を入力していくタイプのソフトではありません.テキストで音符に相当するコマンドを書き並べたものを,プログラムを使って楽譜の図面に変換します.このコマンドに相当する部分を書くのが非常にしんどくて,これで1曲全部書けとか言われたら頭がクラクラすること確実です.実は数日前の幻想即興曲の話のところに貼った画像は,これを使って作った楽譜だったりします.でも,ほんの1小節打ち込むのに1時間くらいかかりました.

MusiXTeX のソースを自力で書くのはあまりに大変なので,普通は PMX というツールが併用されるようです.これは MusiXTeX のソースをある程度自動的に生成してくれるツールで,これを使えばMusiXTeX のソースを書くよりは相当に楽に楽譜が作れます.PMX 用に書くソースは,いわゆる MML と呼ばれる系統のフォーマットに似ています.むかーし BASIC の play 文で頑張っていたわたしなどには,ある意味懐かしいフォーマットではありますが,今見るとこれでもまだ十分呪文ですね.


気合でピアノソナタ「悲愴」の一部を PMX と MusiXTeX を使って書いてみました。以下のような感じです。


% nv,noinst,mtrnuml,mtrdenl,mtrnump,mtrdenp,xmtrnum0,isig,
2 1 4 4 0 5 0 -3
%
% npages,nsyst,musicsize,fracindent
0 2 16 0

bt
.\
% Title / Artist
Tc
L.v.Beethoven
Tt
Piano Sonata: 'Pathetique'
% Score
% Bar 1,2
c82 c+ c- c+ c- c+ c- c+ c- c+ c- c+ c- c+ c- c+ /
c24d e44n zb43 o. f44 za- o. g44 zen o. a zf o. bn zd44 o. /

これを pmxabに通して,さらに ptexコンパイルしてさらに pdf に変換すると冒頭に貼ったような図面ができます.2小節しかないですが,3小節以上データを入れると何故かまともに表示されなくなってしまって,原因がわかりませんでした.